ガイドはつらいよ(Catacombeカタコンベ)20’/9/22

2000年前に地下に作られた墓地、であったCatacombe、その当時のキリスト教信者達のお墓、石のブロックで出来ている廊下が、狭くクネクネと、どこまでも続いていく….. … 日本のサムライの時代、こっそり作った秘密の通路・トンネルみたいで、お城から隠し戸を抜けてこの廊下を歩いていくと、野外の丘の崖下に出て行き、ひんやりとした空気に触れて、助かった ! という実感がわく…. 何、時代小説の読みすぎだ ? …. ここで、猿飛佐助などの忍者映画を撮影したら、さぞかし雰囲気が出るだろうなぁと思いながら、その当時、グループや個人の人達と一緒に、降りたものでした。

Catacombe の名前の由来などを話すには、もっと引きしまった気分にならないと、脳みそが動いてこないのですが、墓掘り人夫達が、地上から段々と地下にと掘り下げていき 迷路みたいになっていった、そこの角を曲がると、死者の家族たちがひっそりと固まって、遺体を横たえている姿が、目に見えるような気がします。

バティカン博物館が、メイン観光になるまでは、このCatacombeツアーが、売り物商品でした。

このツアーを始めた最初の頃は、係員がついてきてくれました。どの道を歩いたら出口にたどり着けるのか、全然私、わからなかったわけですからね。でも数回やっているうちに、こんな、いつまでも人に頼っていては いけない、自分で全部やれなくては 、 と思い、ある日係員に「もう来なくていいよ」と言った。「大丈夫か…?」と聞かれて、「うん、平気、平気」と答えた私は、まだ若かった……. グループと一緒に降りて行ったんだけれど、しばらく歩いていたら、やはりどこも同じみたいに見えてきて、冷や汗が 少しずつ タラー…..
「皆様、少しここで待っていてね、どちらからも外に出られるんだけれど(….. アハハ、完全に私としては道がわからなくなったんだけれど、でもそう言わないと、皆は、怖がるでしょうからね)、ちょっと確かめに行ってきますから 」 と言って、走り去った。しばらくして見覚えのある所に出てきたので、引き返していき、「皆様、こちらの方が短い道でしたよ (…… 誰もどちらが短いかなんてわからないんだから、いいのいいの )、 さあ行きましょう !! 」と言ったら、「いや~ガイドさん、しんにせまっていましたよ、僕たち 一瞬真っ青になったものね」と言われました…..

私の同僚が霊感の強い個人客の方と降りて 上がってきた時に、「 あ、ガイドさん、霊が肩にくっついていますよ。」と言われ、肩をはらわれた !! という事を、話してくれました。

先輩のガイドが、私に言ったんだけれど、「最後になって、グループが1人足りないというのも恐ろしいけれど、1人多いというのも恐ろしいよね。」

別のある時、一日ツアーの最初に、このCatacombeを訪れた時がありました。
観光コースの順番を決めるのは、ガイドに任されていましたから、例えば今日は交通ストがあるから、始めに ここに行こう、とかいろいろ。で、Catacombe も下手をすると、グループが3つも4つも入って、新宿の地下鉄にいるような雰囲気になってしまうので、そうなると、歴史もヒンヤリもふっ飛んでしまう…. それを避ける為には 朝一番に行った方がいい、というので、最初にしたのです。降りていくと、案の定誰もいない、あー、すがすがしい !! と私が感じた途端に、なんと電気がパッと一斉に消えてしまったのです…… 一瞬 真っ青、真っ暗 、恐ろしいー !!!
しかも、こういう時に限って、誰もいない ( 自分が望んだわけだから最高ではないか !!…. もう泣きそう~~~)
闇の中の闇、というのを、初めてっ !! と言っていいくらい、あの時、体験しました。