ガイドはつらいよ(バティカン博物館喧騒) 2021年2月6日土曜日

バティカン博物館観光を、 皆様一度はなさったかと思いますが、素晴らしいオペラ作品で満ち満ちていましたね。え、そんなのわからなかった ? 長~い廊下の中で、延々と続く人々の洪水の中を歩いていったのが、印象に残っているって ? マア無理もないですね、観光シーズンになると、1時間で、2000人位だったかな 、あの300mの廊下を歩いていくわけですから…… どうしても静かな時に行きたいというのであれば、閉館間際がいいです、ポツポツとしか人がいない。ラファエロの間にも誰もいない、ラファエロと私だけ、なんて 泣けてきませんか ?


ただしこの博物館は一方通行で道順が設定してあるので、最後か、最後に近い所でシスティーナ礼拝堂鑑賞になるのですが 、 ガイドと一緒だと、システィーナからすぐにサン・ピエトロ大聖堂へ抜け出られる扉が、そこに遅くたどり着くと 閉まってしまうので、これ又むずかしいのですが……… サン・ピエトロ大聖堂に行かなくていいのなら、問題ありません。

その反面、春は観光シーズンですから、混み合って入場するだけでも一苦労、という日々もあります。

そういうある日、オプションツアーがあった時の話です。入り口で集合になっていました。30人弱の参加者があり、普通に進行させるだけでも大変です。

集合時間前から名前を確認していき、結局2人足りない、会社に電話、10分待て、来ない(集合時間はもう過ぎている)、そして現場を離れるOkをもらってから、予約のほうの列に並ぶ。予約していても 列があるのだからすごいですね。普通はマアマア列なしで入れるのですが、時々こういう異変も起こる。

長蛇の列だと、まだ来ていない人がいても、もう並び始めないとやばい。添乗員さん付きだったら、とりあえず来ている人を連れていってもらって、予約列に並んでもらうことも出来るのですが、無しだと それも出来ない。というので、そういう時は、いいよと言ってくださるお客様に、ツアーの看板を掲げて残っていただく、私はグループを連れて、列の後ろにつく、その時に別のお客様に目印のアンテナを掲げてもらって ( このアンテナを渡す、というの、わりと人気があるんです、みんな、やったー!といって喜んで写真の撮り合いをする時もあるぐらい…..) 、誰かガイドみたいな人が近づいてくれば、「 マイ ガイド、ゼヤー、」 って言って、私を指差すんですよ、と言って、看板を持っていてくださるお客様の方に戻る。 ただ列が進みすぎて、アンテナを持っているお客様が、入口でコントロールをしている係員と話しをする羽目になる事は避けたいので、列が短ければそのような事は 頼めない。とっさの判断をしなければなりません。

そうして、列をして並んでいたら、電話がかかってきたので答えたら、日本の何処かの代理店からで、2人のお客様が集合場所を間違えた事に気づき、そちらに向かうので待っていてほしいと おっしゃっていますが、という内容だった。私「……….. 」

いついらっしゃるかわからない時点で、ウズが巻いている人混みの中で、知らない者同士が合流するというのは、至難の技なのです。しかも列は進んでいっている。ガイドが持つアンテナにくっついている目印なんて、紛れてわからなくなる位のボリューム感に人が溢れている入口近く….. 入口で、予約を見せる時に2人がまだだったら、入らないで待つ事になるが、時には前日予行演習までして集合場所を確かめたお客様が、グループの中にいらっしゃったりすると、もちろんイラついてくるのも充分にわかる、ごもっともです。

というので、断った。

入り口で予約確認の後に、セキュリティーを通過して、入場券を購入し、グループにはその間トイレに行ってもらう、集合、それから4ヶ所あるうちの指定された1つのイヤホーン引き換え場所に全員で行き、と書いてみると, 淡々と事が進んでいるようにみえますが, とんでもない、全部の行為を、イヤホーンを借りるまでは、地声で叫び、人が渦を巻いている中で行うのですから、私も参加者も、顔が引きつってくるわけです。トイレのあとの集合時でも、確認済みのお客様が少し別の方を見て 気を取られていて 振り向いたらグループがもう居なかった、というのも起きるくらい、人の渦というのは、馬鹿にできません。

やっとどうにかこうにか準備段階が終わり、さあ始めるぞ !

システィーナ礼拝堂の中では説明が出来ないので(礼拝堂は神聖な場所だから)、礼拝堂に入る前までに、どこかで済ませることになっていますが、どこに止まってもいいというものでもない、人の流れを妨げるというので、すぐ係員に注意される。説明場所は だから、イヤホーンをつけた後ですね。

中庭にシスティーナ礼拝堂内の絵画写真のパネル板3枚で一組というのがアチラコチラに置いてあって、といっても10組もあったかなあ……..? それで説明しろということなのだが、いつもパネル板の空きがない。だから写真集を持ってきていて、それですませるのですが、カンカン照り、強風の日、寒さが身にこたえる日…..現場のつらさ…… しかし雨の日はどうするのかって ? …… 中庭に出られないのですから、屋内のどこかで、といっても難しいが、すませる。

説明を始めていると、又電話 ! 本当は答えない方がいいのだが、会社からの緊急連絡の可能性もあるので ( 飛行便変更とか) 答えましょう。そうすると先程の代理店の人からだった。「 あのお二人が、闇で売られている券で入ってくるそうなので、どこに来たらいいのかを教えて下さい。」私 ( う~~~む….. こういうお客様って、初めてだ….. )

この館内でミートするというのはとても難しい。昔 東京駅に、鈴の下で会おう、というのがあったが、この博物館は、一方通行なので、簡単に鈴の下に行けない(いや、鈴なんてないのですが、例えば地図の間の入り口、と言ったって日本語で書いてないし….. 待てよ、アイデアが浮かんできた….. 地図の間入り口上に、鈴の絵の看板を掲げてもらうように、博物館に頼んでみてもいいのかも…..)。最後にシスティーナ礼拝堂に入るのだが、そこで会うにしても至難の技。一番いいのは、その人達にはジッとしてもらって、私が迎えにいけばいいのだが、グループをこれ以上は、待たせられない。

というので、断った。

説明が終わり、さあ行きましょうか…. と歩き始めた所で、向こうから2人の若い女性達が近づいて来て、「 あの…….. ひょっとして….」と言いかけたので、「 ええ ?! ….. 〇〇様 ? 」と聞いたら、まさにその通り !!

うわぁー !!! と、2人が喜んだこと !!!

……… 偉い、すごい、こうなるとよくやった !!!! 座布団5枚だよ、これは !!!