頭がい骨 ( il teschio)
シンボルマークとして、何となくわかるし、そのイメージ以外の意味があるとは、思えませんね。やはり” 死“ を連想させます。元々中世の時代に、この発想が生まれたようで、だから 2000年前には、なかったことになるのかな……頭がい骨と共によく描かれるのは、ヒキガエルと蛇です。イエズス会の修道士達は、”死” を瞑想する時の道具として、頭がい骨をそばに置くようにと指導していたようです。1500年代位から、聖人が祈りを捧げる時に、持っていたりしました。時には、絵の作品の中に、そういう場面が見られます。このような意味が込められるのか、聖人フランチェスコ(アッシジ)や、*聖人ロムアルドの、シンボルマークとしても、使われています。
*聖人ロムアルド……951年~1027年。神への信仰を実践する為に、彼はよく孤独になることを好みました。好むというよりも、孤独、隠とん、が、彼の生涯の大部分を成し、修道院生活や洞窟暮らしを、常としたようです。
又、隠とん生活をした、**ヒエロニムスや、マッダレーナ ( 遠い1世紀の人だけに、色々な女性が浮かんできて、この人だという定説がないようですが、絵画で よく描かれているので、又の機会にふれようかと、思います。 ) にも、頭がい骨は、ついて回ります。
**ヒエロニムス….. = Girolamo。隠とん者、神学者 等々。347年~420年 。Aquileia( Friuli Venezia Giulia州。州都はTrieste )の苦行者のグループにも加わったりするが、グループ間の憎悪に嫌気が差して、オリエントに 行ったようです。SiriaのCalcide砂漠で、2年間ほどの苦しい隠遁生活をしました。Da Vinciの未完の作品 “聖人ヒエロニムス” ( ヴァティカン博物館 ) は、まさにこの時の状態を描いたのでしょうか、ちなみに Da Vinciの絵画で、ローマから南は、この作品だけという貴重さ…..
そして、この時期に、ヒエロニムスは、足に突き刺さったトゲに苦しんでいたライオンを見て、抜いてあげたという有名な伝説も生まれてきたようです。又、悔い改める為に使う道具として、岩でもって、彼自身を繰り返し打つという苦行の伝説も生まれました。画家達は、Da Vinci の ヴァティカン博物館のあの絵もそうですが、 悔悛者(かいしゅんしゃ)のヒエロニムスという事で、よく描いているようです。
…….. いろいろ彼の生涯が繰り広げられて……
39才で、彼は自分自身が設立した修道院に入り、73才で亡くなるまで、そこで暮らしました。若者達に教えたり、彼 の粗末な部屋で、本を書いたりしながら生涯を送ったわけで、これもよく、私達、絵画として見ていることかと思います。机に向かって彼が何か書いている、そのそばに頭がい骨が置いてあるという場面です。
頭がい骨は、生物画の中でも、現世を、一時的なものとしてとらえる*ヴァニタスの主題を扱う時に、しばしば描かれています。*ヴァニタス vanitas …… 美しさのはかなさ、人には限りがある、等を暗示する事。頭がい骨、砂時計、消えかかっているがまだ火がついているろうそく、盛りを過ぎた果物、しおれた花、等で、よく表されます。17世紀に、オランダ人画家達の間で、よく描かれました。
老人が頭がい骨を見つめている場合は、年を取るという意味に、受け取られます。
肖像画で、人物がポーズを取っている手のそばに、頭がい骨がある時は、その人物が信心深いことを、表します。
又、ある人物がかぶっている月桂樹の冠の上に、頭がい骨がある場合は、その人物の美徳と名声が、死を超えて、不滅であることを意味します。
又頭がい骨は、憂鬱、を意味したりもします。
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