大晦日、年越し料理のためのレンズ豆。。。。 のみならず!

太古の昔から地上に存在する豆類の中でもレンズ豆は 人類が最も古くから食用栽培した植物の一つです。紀元前1万 3 千年から1万 1 千年にかけて 既にギリシャで食されていたと考古学的にも検証されています。 発掘の際の出土品から見てもこの豆は 実に先史時代から 食され続けていることがわかります。そして豆類全般に共通して言えることですが 安価であるだけでなく、栄養価が高い関係から いつの時代も『貧しい者たちの肉』と見なされてきました。

また レンズ豆の語源は 光学レンズの形状をもつことが関係しています。更に コインの形をも連想させる理由から、イタリアでは 新年に向けて繁栄、幸福、金運を祈願し年越し料理としてレンズ豆を頂く習慣があります。
一般的に豆類は、タンパク質、食物繊維、鉄分、マグネシウム、カリウムを摂取するためには非常に良質な食材であり、特に 鉄分に関しては 肉類以上に含有量が上回ります。 その上 レンズ豆は 栄養価が高いだけでなく、100g につき 実に 291kcal あり 活動のためのエネルギー源となります。

大晦日のためだけではありません。イタリア料理において レンズ豆は、実に重宝されている食材です。 例えばクリームスープ、野菜スープなど各種スープ類にはもちろんのことまた煮込んで副菜としても利用でき、このようにちょっと気の利いた一品や乙なレシピのための貴重な基本食材となります。近年では サラダにも具材として使うことで まろやかな食感が加わり 一味違った一皿となります。またパッサート(裏ごしスープ)にしても絶品の美味しさです。

『一皿のレンズ豆の取り引き』
この古くから知られる言い回しは、今も一般的に広く使われています。
要するに、「何か価値のある物もしくは大切な物を 目先の利益にとらわれて 実際よりも 価値の
低いまたは無意味なものと交換 したり売ったりする。」という意味です。
このことわざの元となる話は『 イサクの長男エサウが弟のヤコブに レンズ豆一皿と引き換えに
長子相続権(長男としての権利)を譲ってしまった。 』という聖書のエピソードからきています。

実際 旧約聖書『創世記』の中で、『 ある日 飢え、疲労困憊しきったエサウが狩猟から帰宅し、その時に弟ヤコブが調理したレンズ豆を見て、彼はすかさず弟に 一皿欲しいと頼みました。しかし 弟は 兄の弱みにつけ込んで、イスラエルの民の指導者となるべき長子権を引き替えに交換する条件を提示します。エサウは、なんと軽率なことに この抜け目ない弟との取り引きをいとも容易く受け入れてしまった』というお話です。
いかがですか?聖書の登場人物でさえ私たちと同じように レンズ豆を食べていたという事がわかるのです!

アンジェラ サントーロ