ガイドはつらいよ(トイレはどこ ?)

ガイドはつらいよ(トイレはどこ ?)

観光中、最も苦労するうちの一つに、トイレタイム、があります。
近頃の観光は、時間内に 訪問する箇所が多ければ多いほどいいらしくて、トイレ ? そんなもんは、現場で考えてくれ、という事になる。3時間観光中、最低1回は行きたい。それがお客様から、2、3回目の希望があると、もうお手上げになります。

1回目に、トイレタイムを設ける時は、グループの人達に、ここで行かなかったら、観光中もう行かないですよ、と言わないと、後で 、ここで一人あそこで二人、なんて言われると、どうしようもなくなります、というので、だいたいの場合、トレビの場所は観光コースの真ん中辺にあたるので、トレビの泉でコイン投げ、アイスクリーム、トイレ、で約 20分間前後位の時間を設ける。その20分間に、トレビに関しての文化的な説明、アイスクリームやトイレに関しての要領…. なんて説明していると、時間がその分削られていくわけですから、もう大変。時々、「トイレの泉」なんて、口走ってしまったりする。

2回目になると、もういけません。添乗員さんがいるグループの場合だと、私は観光を進めてグループと共に 歩いて行ってしまい、添乗員さんとお客様に、トイレの為に抜け出てもらい、追いついてきてもらう。ただ、添乗員さんは グループ全員の方のお世話をするのですから、貴方だけの専属ではない、というのを頭に入れないといけません。グループ一人一人の問題の度合いを見て、大丈夫そうだったら、一緒に来てくれるかもしれない、と柔軟性を持って考えるのが、旅を楽しくするコツです。

添乗員さん無しのグループだと、どうするかというと、近くのbarバール(=喫茶店)に行ってもらい、その時の場所によって、道路がわかりやすかったら 私達は そのまま歩いて行き、トイレの後で、お客様に追いついて来てもらう。道路が複雑だったら、そこでグループは止まり、これから行く観光地の説明をしたり(トイレに行ったお客様は聞けないだろうが 仕方がない….. 何 ? イヤホーンがあるから聞こえるだろうって ? …. あなた、ねえー、本人は異国のbarに飛び込んで、どこにトイレがあるか、ウエイターは親切だろうか、お腹は痛むわ、という時に、「 パンテオンは2世紀に….」なんて聞いてられますか ?! )、レストランに入っての ぼられない要領(次回に言いましょう。何だか 次回、次回が多いですね。筆者も混乱してきます…. エッ? そのまま次回なんかなくって、逃げ切ってしまうのかって ? サア…. )などを話します。

で、barでトイレを借りる、という事ですが、あれ、実は無料、トイレチップなんて置かなくていいんです。barの義務となっています、これが建前。本音は、トイレを貸すと汚れる、トイレットペーパーが減る (トイレ自体は あくまでもそのbarの客の為にあるのですから) 、という事で、bar 側は、いい顔をしない。では、マアチップでも置きましょうか、又は最低の物でも注文する、キャラメルでも買おうか、という発想になってくるわけです。barに入って、「 Buongiorno ! where is トイレ? after caffè カフェ(コーヒー) 、 OK ? 」 と言う。ここまではいい、ここまでは わかりますね。

ところが ある日、私が3人位のお客様達とbarに入ってお願いしたら、だめ!!! と言われた時には、驚いた !! 話しを聞くと、最初に飲んで、それから トイレに行ってくれ、という事らしい。もうトイレに行かないと危ない、と言っている人達に、これ以上、液体を身体の中に流す余地なんて あるもんか ! と思う以上に、この意地悪ジジイには、本当に頭にきた !!

即、「 アホ ! くそったれ !! 」と私は叫びながら ( と本当は したいのだが、育ちの良さが邪魔をして、言ったことはない) 出て行って ( 相手は、私が 何を言っているのかわからないのですから、パンチが飛んでくる心配は、まず無いハズだから言ってもいいんじゃないかとも思うが….. )、隣のbarに入り、事なきを得ました。