客はつらいよ(レストラン)

イタリア料理のおいしさは、世界に知られています。ローマにも、星の数ほどのレストランがありますが、時々 「 どこそこのレストランで、日本人のお客さんがぼられてしまった ! 」と聞いたりして、我々も、憤りを感じます。警察がそのレストランに行って捜査した結果、営業停止という結果で、やれやれ 少しは良くなるのかなあと思ったら、その停止は、一週間弱だけだった !! なんて、反省する暇もないではないですか !!

というので、自信のないお客様に、旅をより良く感じてほしい、という思いで書いてみます。文化、食事、ショッピングが、程よく交わると、旅は一層楽しくなるでしょう。

まずは、レストラン探しです。
入り口に立ってメニューを見てみましょう。もしもメニューが なかったら、入らない。法律で玄関口にメニュー提示、が義務付けられているからです。
ジロジロと、メニューを見て下さい。で、もしもウエイターが いろいろ話しかけてくるようだったら、去っていった方が無難かも。静かにメニューを見る時間を与えてほしいですよね。

前にも言ったかと思いますが、上品に、でも自分に自信をもって、厚かましく振る舞うのがいい、「遠慮」という言葉は、忘れないといけません。

中に入り、メニューを持ってきてもらい、もう一度みる。そしてどうしても気にいらなかったら、ハイ さようなら、で出て行く。そんなこと出来るのかって ? ではがまんして食べるの?それも嫌でしょう ? そういう場合は、エチケットがどうのこうのと言わないで、出て行って下さい、客だから 許されるのです。

日本人のお腹としては、コースではとても食べられないですね、では最低何皿取ればいいのかって ? そうね、2人で2皿、もう少し頑張って、さらに野菜サラダを2人で一皿とってみてもいいかしらね。
2皿といっても、例えばpastaと肉料理、でもOk。本当は2皿ともpasta 料理とかそろえるのが望ましいんだろうけれど、我々は客、そんなことは言ってられない。向こうも、” コックは辛いよ ” に 撤して用意してもらおう。それに日本人の食べ方も、日本人がよく行くようなレストランだと、段々わかってきているようです。つまり 色々好きなお皿を注文して、中央に並べ、自分達は小皿をもらうっていうの。

これからが肝心です。メニューを見て 選んだ後、ウエイターに言う前に、注文するお皿を、自分のメモ用紙に書き込むんです。日本語で書いたらだめですよ。いざ抗議する時の為に、メニューの言葉 で書く、値段もしっかり書いてね。

さて注文したはいいが、なかなか持ってこない、どうしようか ? そういう時は、遅い、と言わないといけないわね。ただ どのウエイターでもいい、というわけにはいかない、自分の受持ちのウエイターがいる。自分に最初にメニューを持って来てくれるのが、そうなのです。だから顔をしっかり覚えないと、いけません。他のウエイターに言ってもダメよ。言わなくて 1 時間以上待たされた人もいましたからね。忙しすぎてうっかり気がつかなかった、もあるだろうし、又は客が催促しないようだから、それでいいんだ、それでは、うるさい客の方から面倒をみよう、ということかもしれない。それでもって、言えなくて うじうじしていて、新婦から ” 帰ったら離婚 ” になっても、つまらないでしょう。 誰でも “最初” があるんだから、がんばって !!

たまに、ですが、こういう時もある。
ウエイターが、お皿を持ってきて見せて、イタリア語で「 ○△□□」と言う。
皆は, あ、頼んだ時はよくわからなかったんだけれど、これだったのか、と思い、ありがとう、又は、何気なく うん、うん、と答える。ところが ウエイターが言ったのは、「今日新鮮な材料を手に入れたので、作ってみました。どうですか ? 」だったんです。で、あなたが、ありがとう、又はうんうんと言ったものだから、ウエイターはお皿を置いていくわね、そうすると払う羽目になる。その場合、もしも書いたメモを持っていたら、これ ? とか聞いて、確かめる事が出来るでしょう。反対に、頼んだ皿でなくても おいしそうだったら、how mach ? と聞いてから、OkかNoを答える。

最後に、請求書を自分のウエイターに頼む。「コント( il contoですが、マア通じさせるのが肝心だから、それでいいとしよう) プリーズ」 と言って持ってきてもらい、まずは自分のメモと照らし合せる。メニューに書かれてある文字は、ミミズが はったような文字で分かりにくいかな ? 最後が合えば いいんだけれど、自分のウエイターを呼んで照らし合わせてもいいし( 客の当然の権利ですから、遠慮しないで)。

で、たいがいは 計算が合うんですが、たまに違っている時もある。抗議する。書いてあるメモがあるから、解決しやすいのですが、どうしてもレストラン側が言うことを聞かなかったら、「 ポリツィア( Polizia警察、ポリスでもマアいいかな)プリーズ」と言う。その時に、まことにすみませんが…. みたいな感じで遠慮しがちに言ったらだめ、スパッと高倉健か、藤純子か(知らない ? 仕方ない、じゃあ 和田あきこ ) という感じで、グっとにらみつける。元々日本人の顔って、年をとっても童顔だから、外国人に軽く思われてしまう。にらむくらいで、ちょうど普通の顔になりますからね。必死になって、相手の目を ヒタっととらえるのですよ(これは、ホテルのフロントでも、どこでも頼む時は同じ。ほら、よく小説にあるでしょう、口は笑っているが、目は不気味に光っている、というアレね)。

チップは、よかったなあと思ったら置く、サービス悪かった、味も良くなかった、と思ったら置かない。別に10%置かなくても良いですよ。適度に数ユーロ、という感じでいい。サービス代が、ウエイターのチップだと言われたりもしますが、本当の所は、わからない場合もありますからね。
マア会社の社長さんだとか、何処かの部長さんだったら、もう少し置いたら喜ばれるでしょうが、今ここで私が言っているお客さんとは、日本のレストランしか知らない人、が対象です。

コントをもらって点検して 払い、お釣りをもらった中から、チップを置く、置かない、をする。
小銭がどうしてもなかったら、ウエイターに、スモール チェンジ プリーズ、と言う。又はレジに行って払い、自分のテーブルに引き返して、チップを置いて去っていく、という事で どうですか ?

出口に向かって歩いて行く時に、ウエイター達が通りかかるようだったら、そのレストランにだいたい満足したのであれば、、一言、thank you とか、grazieとか、ありがとうとか、ニコっだけでもいいか、何か意思表示をしたら、相手は 意味がわからなくても、ああgrazieと言っているんだなあ、と分かりますからね。恥ずかしがらないで、やってみて下さい。何も言わないで ツーンとした顔をして通り過ぎたら、ではあの客は、クマだったのか、人間ではなかったのだな、と思われるかもしれない。反対にまずかった、サービス悪かった、のだったら、あなたは怒ってるわけでしょう、ツーンとして通るか、なんか文句をいうのか、別の対応がある事でしょう。

さあ、やってみよう !

励ましの言葉 : In bocca al lupoイン・ボッカ・アル・ルーポ ! ( オオカミの口に気をつけて = 幸運を祈ります)
返事 : Crepi il lupoクレピ・イル・ルーポ ( オオカミなんてくたばってしまえ = ありがとう)

上の言葉は、励ましの勇気付けの時に使ってOkです。私も試験に向かう前に言われて、真っ青になりながらも、答えたものでした。