新Venezia物語

10月3日付け :
Italia – Venezia
悪天候が続いているイタリア北部で、Venaziaも例外ではない。いつものごとく、S. Marcoサン・マルコ広場にも、海水が流れてくると予想されて、広場を横ぎっていく 橋げたで作られた通路まで、用意された。
ところが、この朝 初めて ” モーゼ計画(可動式の水門を制御しながら高潮に備える。。。イメージとしては、人工堤防。。。 計画) ” が実施されて、S. Marco広場や店の中に海水が押し寄せなかったという、悪夢から解放されたような 奇跡的(遅れた奇跡という人もいる)な結果を得る事が出来た。歴史に残る出来事だと、市長を始め、皆感激している。
港湾監督事務所が条例を出して、航行や船の進入を禁止して、責任者Cinzia Zinconeチンツィア・ジンコーネ女史 が 朝9時に、Porto di Lido(。。。もうみんな読めるでしょう。。。)の入り口にやってきて見守る中、このモーゼが、海中から現われたのである !! 。。。 旧約聖書のMosè モゼ(モーゼ)からも名前が採用されているとか。。。

モーゼ計画…. 2003年に着工が始まり、延びに延びて2021年12月31日に 、工事関係者からVenezia市に引き渡されるハズだという。
MOdulo Sperimentale Elettromeccanicoの略。
この人工堤防は、長さ1600m、高さ20m、厚さ3, 6m~4,5m。全長1つではなく、58のブロックに分かれている。
見積もり費用は、刻々と変わっていった。
1989年段階… 3兆2000億リラ(何しろリラの時代からです !! )
2001年段階… 3兆7000億リラ
2003年段階… 7兆リラ

工事が始まり….
2002年割り当てられた額… 4億5000€
2013年自由に使えた総額…49億8700万€
2014年自由に使えた総額… 52億6700万€
2020年90%工事が終わっているが、自由に使える総額…. 54億9300万€(=6779億5455万円位)
維持管理費にも、何十億円とかかるそうだ。

この日の朝、モーゼは 8:35分に上がり始め、9:52に上がりきったが、Venezia はこの時どしゃ降りの雨で、強風のシロッコが吹きつけていた。この時、S. Marco広場が、いつもなら湖になってきているはずが、ただ雨が広場に打ちつけているだけで、小さな小さな水たまりがあっただけだった。

シロッコ…. アフリカからやってくる暖かい南風

市の潮流センターより、Mose 内部の海面は上がらなかったという発表があった。1時間17分位、58の水門が上がっていた。
10:00に、Mose南の外側では、119cmの海面の高さになっていたという。Punta Saluteという海面記録場所での普通の海面の高さは69cmだと、言われている。
110cm以上の高潮で、モーゼは作動し始める。過去に統計を取った結果、1993年~2003年の10年間に、110cm以上の高潮が発生した数が53回もあった、という事からにもよるらしい。
地元の人々は、これより少し低い高潮だと、モーゼは作動しない事になるだろうから、そうなると、我々が水浸しになる危険性がありそうだと、心配している。

2019年には、汚職事件も発生して、モーゼ計画にかかった費用が、”太陽の高速道路1号線”にかかった費用の3倍にもなったらしい !! (Corriere della Sera日刊紙より)

太陽の高速道路1号線… Milano-Roma-Napoliを結ぶ。759、6km, 開通は1964年

10月4日付け
この日も雨だったが、水位は13:00で 101cmだったので、モーゼはあがらず。
S. Marco 広場は、足首までの海水の高さ。橋げたの通路を歩いている人が大部分の中、水につかって楽しみながら ?! 歩いている人もいた。店の人は、ホウキで海水をはき出しながら、マア慣れているからね ~ と、そんなに絶望的でもなかった。