ガイドはつらいよ(迷子探し)2020年12月17日

ずいぶん前のことです。一人参加の若い男性が、迷子になってしまった事がありました。Pompeiの遺跡でです。Vesuvio 火山の噴火により、 埋没してしまった2000年前の古代ローマの町、ポンペイ…. 一度ならず、何回も足を運びたい…. あの通りの入り口に立つと、現在を忘れさせてくれる、不思議な感覚にひたれる….. 最近の調査研究によると、Pompeiの町は、エトルリア人が、始めたという説がでてきています…..

海の門から入っていって、Foro(あのForo RomanoのForoですね、その町の一番大切な広場を意味し、公共建築用の建物、例えば神殿とか、裁判所、市場などがある広場)、水飲み場、大衆浴場、売春宿、パン屋さん、古代劇場、誰かのお屋敷、亡くなったひとの型 ( を見るというのも気持ちいい話ではないが )、古代闘技場….. ( ただ、グループのポンペイでの時間割り当てだとか、そこを修復している場合は 入れないとかで、全部いつも見れない場合が多い)と進んでいって、出口、さあご飯だ、ご飯 !! 人数を確認するわよ ! という所で、一人足りないのを発見、皆も、アア あの男性だなあ、と気が付いた。

とりあえず、ガイドさん ( 私は観光通訳という名目でガイディングをしていた。ガイドライセンスは、その当時州ごとで効いたので、PompeiのあるCampania州は、私がライセンスを取ったLazio州ではないので、Campania州のライセンスガイドがいないといけなかった ) に皆をレストランまで連れて行ってもらって 昼食時間にすると共に、私は出口から再び逆戻りし始めた。

探しながら最初に歩き始めた海の門の先の、Pompei入り口までたどり着いたら、「 アア、そういう日本人男性を見たよ。あなた達の会社が使うレストランを知っているから、仲間がそこに、彼を車で送っていった」と言われた。感謝 !! お客様は、このツアー名のシールを、胸にぺタッとはってらっしゃったので、それが不幸中の幸いだった。車で向かったらしい、車で…….

私 ? 私は遺跡の中を又々再びテクテクと あ、る、い、て、レストランにたどり着きました。距離 ? ざっとみて1km位でしょうか、だから計3km位歩いた事になる…. 空腹、疲労、しゃべりながら歩くというのは、体力をすごく消耗する、朝7:30にホテルを出発したという事は 何時に起きた?…… やっぱり会社勤めの仕事を、選ぶべきだったのか…..

そしてそれから、私の人生観が変わったのです !!! 最初にグループに会うと、挨拶の後、「 迷子になったと思ったら、そこが自己解散場所と思って、後は自力で自腹で、お帰り下さい」と言うようになりました。「 迷子探しの為に、他のお客様に待っていただくと、待って下さる方が『 なんか真面目にしてきて、損したなあ。これだったら、好きなことをして、探してもらった方が良かったじゃん』という事になるでしょう。」と言う。

段々年月が経っていくと、観光内容の見所がビッシリ、になってきたので、新たに加えて言ったのが、Roma観光の時でしたが、「 他のお客様に待っていただくと真面目にやってきた方が損をする、というのは建前で、これももちろんだけれど、本音としては、これだけびっしり見所が入っていると、こなすだけで精一杯、迷子探しをしている時間が、出てきません。書いてあるところには行かないと、いけませんからね。皆様も良かったら、次回からもう少しのんびりしたツアーを選んでいらっしゃっても良いかもよ。例えばあそこに見える教会に、Bernini ベルニーニの素晴らしい彫刻があります。ちょっと入って見てみたい。でもこれだけ観光スポットがビッシリ書いてあると、時間がなくて入れない、そういうガイドの遊びも出来なくなる。ひたすら書いてあるものを消化していく事になるわけです。」と言うようになりました。