そぞろ歩き(ローマのオベリスク) 2021年10月9日土曜日

オベリスク…..ローマの街の広場等に、細長い古くさい石造りの棒が立っているのを、しばしば見るでしょう、それが、オベリスクと 呼ばれていて、Jasga制作のビデオにも、紹介されていたことと、思います。古代エジプトが 発祥の地ですが、以前にも、ポポロ広場に立っているオベリスクについて、ふれました。

古代エジプトの物は、なんでも神秘的にとらえてしまいますが、オベリスクもやはり そうでしょう。”保護”という意味が、込められているようです。言葉自体は、”小さな串” という意味らしい。古代エジプト人は、保護を 太陽神 Ra に祈願する、という思いを込めて、神殿の入り口に、オベリスクを 立てたようです。

又、太陽神が、オベリスクの中に 宿る、とも信じられていたようです。古代エジプトの神殿の前に立っていると、その神秘性を増すハズのオベリスクが、現在、世界のあちこちに散らばり、私としては 、立てられた場所で、違和感をかもし出していると、思うのですが….. 権力の証(あかし)にと、ローマ皇帝が持ち帰ってきたり、考古学者や 時の政府の希望もあったりしたのでしょうか…… そのエジプトの地に そのまま置いておくと、朽ち果てるだけだと、懸念した結果かもしれません(….まさか…..)

ところで、ある地点に立つと、3つのオベリスクを見ることが出来るという場所がローマにあり、世界広しといえども、ローマ唯一、になるのでは、ないでしょうか……

どの地点かというと、Via del Quirinale /Via Venti Settembre と、Via delle Quattro Fontaneが交差している十字路です。十字路の、一つ一つの角に、噴水があります。

その地点から、Santa Maria Maggiore大聖堂(大聖堂の裏になるのですが)に目を移すと、一つのオベリスクが見えてきます。古代エジプトのオリジナルではなくて、ローマ帝国時代 ( たぶん、1世紀のドミティアヌス皇帝時代 ) に、造られたものでしょう。アウグストゥス皇帝の巨大なお墓(マウソレウム)の前に 立っていたのですが、1527年に発見されて、シクストゥス五世の要望により、そこに移されました。

ところで、Roma は、平均して、だいたい海抜20mの高さになるそうです。一番低い街の部分は、パンテオン前の広場で 13m、一番高い部分は、マリオ山(Monte Mario) で、139mになるのだそう…… だからローマは坂道が多くて、風光明媚というか、心臓破りというか……

Barberini 広場から、急な上がり坂のVia Quattro Fontaneを歩いていくと、例の十字路に出てきます。30mの勾配を上っていき、その地点に着くわけですが、今度は、Santa Maria Maggiore大聖堂を見ないで、 Via del Quirinale を見ると、奥(Piazza Quirinale ) に、もう一つのオベリスクがあるのに気が付きます。14mの高さがあり、土台の高さも入れると、30m位になります。

このオベリスクは、古代エジプトで造られ(赤花崗岩)、紀元後1世紀に、ローマに運ばれてきました。最初は、先程のSanta Maria Maggiore 裏のオベリスクと共に、アウグストゥス皇帝の巨大なお墓(マウソレウム)の前に立てられていたのですが、古代エジプト時代のオベリスクには、文字が 刻まれてあるのが 普通なのに、このオベリスクには ないので、もしかしたら 古代エジプト時代の物では ないのかも……とも、言われているようです。

このオベリスクも、もう一つの対になっていた、Santa Maria Maggioreのオベリスクと共に、1527年に発見されましたが、現在位置に置かれたのは、1786年です。

このオベリスクの下に立っているDioscuriの双子神の像は、コンスタンティヌス皇帝(4世紀)の大衆浴場(ここにまさに、この浴場が、広がっていました)にあった像です。

3つ目のオベリスクです。Barberini広場から、上がり坂を登っていくと言いましたが、例の地点の十字路に着いたら、後ろを振り返って見てください。見下ろす果てに、又々 オベリスクが、見えています。そこはちょうど、スペイン階段の上 ( Piazza della Trinita’ dei Monti ) になります。

現在位置に置かれたのは、1789年ですが、どこにあったのかというと、Sallustio のお屋敷(このTrinita’ dei Monti 広場から、奥の方に広がっていた広大なお屋敷。ジュリアス シーザーが住んでいたと言われている)にあったとか。オリジナルでは なくて、アウレリア皇帝時代 ( 在位270年~275年 )に造られたコピーだろうと、言われています。文字は刻まれていなかったのですが、ポポロ広場に立っているオベリスク(こちらは、オリジナル)の文字が、このオベリスクに 刻まれているそうで、よくみると、間違っていたり、逆さまになっていたりするのだそうですが……… ( 続く)