そぞろ歩き(E.T.の生みの親 )終わり 2023年2月3日金曜日

。。。第1回目は、2022年12月2日金曜日、2回目は2023年1月20日金曜日、そして 今回です。カルロ・ランバルディCarlo Rambaldi についてです。。。

57才で、第3回目のオスカー。

1982年、アメリカ合衆国製作、Steven Spielberg 監督( 当時35才という若さ !)

監督談 : 「 どのようなE.T にしようかと、ずいぶん 考えた。ありきたりな物は、創りたくなかった。ぬいぐるみの中に 小人が入っているんだなと 考えさせないように、体型的にも違っている そういう物を、実現させたかった。」

監督は 技術者に、このE.Tは、高さが1m、望遠鏡のような首で 足は小さく小太り、という注文を出しました。E.T.製作は、以前 ” 未知との遭遇( 1977年度製作)” の映画で 共に働いた ライナルディに、頼みました。

E.T. の目も、大変重要な役割を果たしているみたいですが、技術者は、ロスアンジェルスにある目専門のJules Stein 研究所まで行って、本物の目と ガラスの目について勉強をし、研究所の一員を、映画スタッフとして 迎えたくらいです。

E.T. の顔のモデルは、詩人の サンドバーグ、物理学者のアインシュタイン、作家のヘミングウエイなのだそうです。

1981年1月( 撮影開始 6ヶ月前 )に、ライナルディは、 粘土で 実物大の E.T. を 創りました。照明を当てると、もっとハッキリ、E.T. が見える事が、わかりました、というのは E.T. の皮膚は 茶色の粘土で創られていたからです。

E.T. を より人間らしくする為には、口と舌の動きが 大切だったのですが、技術者は ( 目の研究所に行った技術者とは 違う人。なにしろ200人の技術者がいたというのですから)、6つの 独立した線を使うという事で、解決したようです。

1981年4月、3つの E.T. が 創られました。1つ目は、実物大の機械仕掛けで動き、高さ1,2m (首が長くなると 1,4mになる )、頭の長さは 50cm、で、12人の技術者が 操縦しました。

2つ目は、電動で 遠隔操作が出来、クローズアップされる時の 顔の表情に 使われました。小人が中に入っている ぬいぐるみも、使用されたようです。別に 4つの頭も創られ、別々の体に備え付けられるように なっていました。

E.T.の体は、アルミニウムと 鉄で 骨格が創られ、その上が、ガラスの繊維・ポリウレタン(合成樹脂の一種で、日用品のスポンジとか 精密機器など、幅広く使用されている )・ゴム などで、覆われました。

全部の創られたE.T. は、機械仕掛け・アニマトロニクス ( 動物の動きを、電子工学を用いて、ぬいぐるみで再現する技術 ) で動き、87の動きを持ち、内 10の動きが 顔専用だったという、1981年当時においては、映画撮影としては、最大の技術だったそうです。

映画の中で使われた 自転車は、日本製品だったとか (Kuwahara 桑原商会、1918年設立 )。

それで気になる費用が 、制作費予定が 1050万ドル( 約 13億9000万円)、売り上げ金が 7億1700万ドル( 約950億円)というので、最初に製作を蹴った コロンビア映画会社は 泣きに泣いたに違いない、その点 受けたユニバーサル映画会社は 偉かった !?

。。。E.T. の人差し指が異常に大きく、これは、ミケランジェロが描いた システィーナ礼拝堂の 天井画の、アダムが 神に 人差し指を 差し出している あの絵から、ヒントを得たのだとも、言われています。

この間、”ローマの中世時代” の展示会を 見たのですが、その際に、ローマにやってきた 巡礼者についての説明書きを読んで、興味を覚えました、かいつまんで話すと……

中世時代、ローマ、エルサレム、サンティアゴ・デ・コンポステーラ( スペイン) などへの、巡礼者の旅が 盛んだったとか。特に ローマに向かう巡礼者達は、ロメイ(romei ) と、呼ばれていたそうです。ヨーロッパの あちらこちらから、時には アフリカやアジアからでさえも やって来たそう。巡礼者達は ローマに たどり着くと、 イエスの弟子達や、殉教者達の 古いお墓にひざまずいたり、又 貴重な イエスの 聖遺物 ( 十字架の木片、釘、聖なる階段、イエスがムチ打ちにあった時の柱、聖女ヴェロニカの布…以前の Postino でも、触れたと思う…..)などをお参りしたり、特に 1300年に、ボニファチオ十三世 ローマ教皇が 50年ごとに ( まもなく25年ごとになった ) 聖年をもうけ、その年には ローマへ巡礼する事を義務付けたので、巡礼者の数が、急増していきました….今でも そうです、次回は 2025年、後2年です ! …..

11世紀頃から、巡礼者の 制服のような物まで、お目見えしてきました。マントを着て、つばの広い帽子をかぶり、長い巡礼杖をついて 歩きます。その杖には、水の入ったひょうたん がぶら下がっていたり、ザックや小さな皮袋に 、食べる物や お金、宗教儀式に必要な物などが、入っていたりした。このような服装をしていると、巡礼者だと見られ、宿泊所や医療看護所を見つけるのも比較的楽だったそうです。

そして、この巡礼の旅が終わったという証しに、ロメイは、巡礼者用の 例の服に付ける事ができたかもしれない ? 小さなバッジのような物を、手に入れる事が 出来たようです。帽子や マントにも 付けられたかもしれない。そのバッジみたいな物は、スズや鉛で 作られていて、小さな四角い形の物もあり、祈願を込めた言葉が 書かれてあったり、聖人パオロやペテロ、もしくは ヴェロニカ等の顔 などが 添えてあったり、又は 、四角い形ではなく 人の姿だったり…….

現在まで残ってきている そういう物が展示されているのを 見ていると、杖を持って 、つばのひろい帽子をかぶり、歩いている小さな姿の巡礼者のバッジ位の大きさがある物が、目に止まりました。あっちにいこうよ、と言っているのか、右手を少し挙げているのですが、その人差し指が、お~~ !! 他の指から離れていて、少し立ってはいるが 途中から曲がっていて、ハッキリと目立つように 作られてある !!! 、その指だけ曲がって立っていて 後の指は 握ったようになっている…..もしかしたら、もしかしたら…….ミケランジェロは その指を 見て、アダムの人差し指を描いたのではなかろうか ….. 巨匠ミケランジェロがインスピレーションを 受けた、かもしれない物に、私は 巡りあえたのかなぁ !!! ……. しばし釘付けされて、そこに立ち続けていた私でした。

( 終わります)